■第23話 試合の朝
試合当日の朝、それはこんな感じだった。
いつもよりずっと早く起きる。支度をする。
親子で、
一目でサッカーの試合に行くのがわかるような格好をして
膨大なサッカー装備をずっと積みっぱなしのワゴンに乗車、いざ出陣。
この装備が着かなければ、チームの陣地設営ができない、ほかの人たちより必ず早く着かなくてはならないのだ。
試合会場は県内外を問わずいろんなところで行われる。探して探して、やっと会場に行ってみると、ただの草っ原だったりすることも往々にある。
車のナビが欲しかった。しかし、俺の中古のワゴンには、そんなものは最初からついているわけもなく、金がないので、当時まだ世の中に出たばかりのナビなどは到底買えず、女房が地図を見ながら人間ナビになるのだった。
ただ、草っ原の会場だろうが、どこの会場だろうが、行ってみると、地元のチームの親たちがせっせと働いている。
俺たちがいつも試合時間より随分早く着くようにしているから、こういう光景を目にすることができる。自分の子供が出る試合だけ見に来て、さっさと帰る親たちには、この光景は見ることはできない。
昨日、地元のチームの親たちがグラウンドに出て、草刈り機で草を刈ってくれたきれいなところに、どんと荷物を置いて、シートを広げ、場所の確保をしてから、作業の協力体制に入る。みんなでゴールを運び、白線を引き、水をまき、本部のテントを立てる。
会場準備が整うと、俺たちも、自分のチームの陣地の設営に入る。そのころにはチームの親たちも到着し、見ると、俺の車から、もう勝手にどんどん荷物を運び出して、シートの位置に運び込まれる。
おやじたちが、協力してテントを張ってくれる。指揮はもちろん、俺がとるのである。
そしてお母さん方がテーブルの設置をし、水くみや水筒の準備、その他もろもろの作業をやってくれている。指揮はもちろん女房がとるのである。
初めて、長男の試合を見に行ったとき、驚異に思ったこの光景、そしていつかあの前列に座っているレギュラー陣の親になりたい。
そんなことを思ったのは、6年前、長男の試合を初めて見に行ったときだった。
…長男のことはほとんど言わなかったが、彼の頑張りは想像以上であり、的確な俺のおやじコーチが実を結び? 6年生になってついにレギュラーの座を取ったのである。
…なので、当時も実は、前列には座れたわけだ。
しかし、俺はパラソルのあるど真ん中のテーブルに陣取ることはしなかった。いつも、外の木陰に椅子を持っていって遠くから眺めていた。
そしてレギュラー陣が前列のテーブルや椅子に陣取ることもなくなっていた。
みんな思い思いに好きな場所で、気の合う連中と一緒に談笑しながら試合を待っている。
試合が始まり、コートのすぐ横まで応援に行く夫婦、遠くからじっと見ている夫婦、試合なんかどうでもよくて、おしゃべりに花を咲かせているお母さんたち、ゴール横に陣取り、自分の息子をじっと見ているキーパーのおやじ、いろいろいた。
だが、そこには他人の息子をなじるおやじ監督も、自分の息子にいちいち指示を出すおやじコーチもいなかった。
平和だと実感した…
<少年サッカー編>
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試合当日の朝、それはこんな感じだった。
いつもよりずっと早く起きる。支度をする。
親子で、
一目でサッカーの試合に行くのがわかるような格好をして
膨大なサッカー装備をずっと積みっぱなしのワゴンに乗車、いざ出陣。
この装備が着かなければ、チームの陣地設営ができない、ほかの人たちより必ず早く着かなくてはならないのだ。
試合会場は県内外を問わずいろんなところで行われる。探して探して、やっと会場に行ってみると、ただの草っ原だったりすることも往々にある。
車のナビが欲しかった。しかし、俺の中古のワゴンには、そんなものは最初からついているわけもなく、金がないので、当時まだ世の中に出たばかりのナビなどは到底買えず、女房が地図を見ながら人間ナビになるのだった。
ただ、草っ原の会場だろうが、どこの会場だろうが、行ってみると、地元のチームの親たちがせっせと働いている。
俺たちがいつも試合時間より随分早く着くようにしているから、こういう光景を目にすることができる。自分の子供が出る試合だけ見に来て、さっさと帰る親たちには、この光景は見ることはできない。

昨日、地元のチームの親たちがグラウンドに出て、草刈り機で草を刈ってくれたきれいなところに、どんと荷物を置いて、シートを広げ、場所の確保をしてから、作業の協力体制に入る。みんなでゴールを運び、白線を引き、水をまき、本部のテントを立てる。
会場準備が整うと、俺たちも、自分のチームの陣地の設営に入る。そのころにはチームの親たちも到着し、見ると、俺の車から、もう勝手にどんどん荷物を運び出して、シートの位置に運び込まれる。
おやじたちが、協力してテントを張ってくれる。指揮はもちろん、俺がとるのである。
そしてお母さん方がテーブルの設置をし、水くみや水筒の準備、その他もろもろの作業をやってくれている。指揮はもちろん女房がとるのである。
初めて、長男の試合を見に行ったとき、驚異に思ったこの光景、そしていつかあの前列に座っているレギュラー陣の親になりたい。
そんなことを思ったのは、6年前、長男の試合を初めて見に行ったときだった。
…長男のことはほとんど言わなかったが、彼の頑張りは想像以上であり、的確な俺のおやじコーチが実を結び? 6年生になってついにレギュラーの座を取ったのである。
…なので、当時も実は、前列には座れたわけだ。
しかし、俺はパラソルのあるど真ん中のテーブルに陣取ることはしなかった。いつも、外の木陰に椅子を持っていって遠くから眺めていた。

そしてレギュラー陣が前列のテーブルや椅子に陣取ることもなくなっていた。
みんな思い思いに好きな場所で、気の合う連中と一緒に談笑しながら試合を待っている。
試合が始まり、コートのすぐ横まで応援に行く夫婦、遠くからじっと見ている夫婦、試合なんかどうでもよくて、おしゃべりに花を咲かせているお母さんたち、ゴール横に陣取り、自分の息子をじっと見ているキーパーのおやじ、いろいろいた。
だが、そこには他人の息子をなじるおやじ監督も、自分の息子にいちいち指示を出すおやじコーチもいなかった。
平和だと実感した…
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