■第8話 レギュラーへの道2「自信」
地元のリーグ戦の後半戦、ついにナオトは初めて先発で出場することができた。そしてそのとき感じたあのわくわくするような、そしてあま〜い「甘美な感覚」を俺は忘れることができなかった。
そして、たった一度先発に出た長男ナオト本人も、先発で出してもらえた、あの感覚をおれ以上に味わったのだろう。
奴のボールへの執念は、確実に増していった。たった一度の先発が、奴に自信を持たせたのだろうか?
そしてナオトにレギュラーの座をたった一度だけ奪われた、あの子は、きっとさらに燃えていたに違いない。そしてその子の親も…。
ひょっとして、これは監督・コーチの作戦だったのかもしれない。
「チーム内の活性化 (1)サブ選手層の意識改革及び積極性確保のために方策」
そんな題目がつけられた計画書があったのかもしれない…あるわけないか。
いずれにしても、チーム内は活性化されてきたことは、試合のたびに見てとれるようになった。
特に、ナオトだけではなく、バックの入れかえがかなり激しくなり、徐々に徐々にナオトは先発する機会が増えてきた。あるときは、右に、あるときは左に、そしてボランチに…監督・コーチはナオトを「使おう」としてくれているように思えた。
そして、そのときチームに一人の5年生が入ってきた。
その子は、都会から引っ越してきたばかりで、ずっとやっていたサッカーを続けたくて、この地元のチームを探していた。そして我がチームに入団した。
その子は、小学生ばなれした体格の持ち主で、テクニックもあり、何より気が強かった。相当のやんちゃ坊主だ。不思議なことに、大人しいナオトと新入りのドカは仲がよく、自分より、頭一つ違うほどでかいドカに平然とタメグチをきくナオトに、「オッ! こいつ、なかなかやるやんけ」とさすがの俺まで驚いたほどだった。
監督・コーチ陣は、そのでっかい「ドカ」の練習を見ながら、どうもドカ中心の守りでいこうと決めたのかもしれない。バックにナオト、スィーパーのドカの練習が続いた。
そのコンビは、試合でもうまく機能した。ドカが後ろから指示を出す。ナオトが食らいつく、時間をかせぎ、うまくいけばドカにボールを出した。
そして文字どおり「ドッカ〜ン」と前線にまで一気に蹴り返してしまう。その守りの形が、我がチームのカウンター攻撃に都合がよかったのかもしれない。
「後ろにドカがいてくれる。」
その気持ちがナオトを積極的に前に出した。たくましい友を得、協力して守ることを覚えたナオトのプレーに、自信が見えてきた。
以前なら、止めることしか考えなかった。いや、考えられなかったに違いない。
「ミスをしないよう、抜かれないよう…」
そのプレッシャーがナオトの心を覆っていたに違いない。
相手の一歩前を行くディフェンス、そして後ろにドカがいるときは果敢に相手オフェンスのボールを奪った。そして前線へとつなごうという意識がはっきり見えた。
もちろんミスもした。抜かれもした。「出るな!」と監督に怒鳴られもした。
しかし
リーグ戦の終盤、ドカはスィーパーに定着した。そしてナオトはバック右に定着した。
奴は、ついにレギュラーを勝ち取った!
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地元のリーグ戦の後半戦、ついにナオトは初めて先発で出場することができた。そしてそのとき感じたあのわくわくするような、そしてあま〜い「甘美な感覚」を俺は忘れることができなかった。
そして、たった一度先発に出た長男ナオト本人も、先発で出してもらえた、あの感覚をおれ以上に味わったのだろう。
奴のボールへの執念は、確実に増していった。たった一度の先発が、奴に自信を持たせたのだろうか?
そしてナオトにレギュラーの座をたった一度だけ奪われた、あの子は、きっとさらに燃えていたに違いない。そしてその子の親も…。
ひょっとして、これは監督・コーチの作戦だったのかもしれない。
「チーム内の活性化 (1)サブ選手層の意識改革及び積極性確保のために方策」
そんな題目がつけられた計画書があったのかもしれない…あるわけないか。
いずれにしても、チーム内は活性化されてきたことは、試合のたびに見てとれるようになった。
特に、ナオトだけではなく、バックの入れかえがかなり激しくなり、徐々に徐々にナオトは先発する機会が増えてきた。あるときは、右に、あるときは左に、そしてボランチに…監督・コーチはナオトを「使おう」としてくれているように思えた。
そして、そのときチームに一人の5年生が入ってきた。
その子は、都会から引っ越してきたばかりで、ずっとやっていたサッカーを続けたくて、この地元のチームを探していた。そして我がチームに入団した。
その子は、小学生ばなれした体格の持ち主で、テクニックもあり、何より気が強かった。相当のやんちゃ坊主だ。不思議なことに、大人しいナオトと新入りのドカは仲がよく、自分より、頭一つ違うほどでかいドカに平然とタメグチをきくナオトに、「オッ! こいつ、なかなかやるやんけ」とさすがの俺まで驚いたほどだった。
監督・コーチ陣は、そのでっかい「ドカ」の練習を見ながら、どうもドカ中心の守りでいこうと決めたのかもしれない。バックにナオト、スィーパーのドカの練習が続いた。
そのコンビは、試合でもうまく機能した。ドカが後ろから指示を出す。ナオトが食らいつく、時間をかせぎ、うまくいけばドカにボールを出した。
そして文字どおり「ドッカ〜ン」と前線にまで一気に蹴り返してしまう。その守りの形が、我がチームのカウンター攻撃に都合がよかったのかもしれない。
「後ろにドカがいてくれる。」
その気持ちがナオトを積極的に前に出した。たくましい友を得、協力して守ることを覚えたナオトのプレーに、自信が見えてきた。
以前なら、止めることしか考えなかった。いや、考えられなかったに違いない。
「ミスをしないよう、抜かれないよう…」
そのプレッシャーがナオトの心を覆っていたに違いない。
相手の一歩前を行くディフェンス、そして後ろにドカがいるときは果敢に相手オフェンスのボールを奪った。そして前線へとつなごうという意識がはっきり見えた。
もちろんミスもした。抜かれもした。「出るな!」と監督に怒鳴られもした。
しかし
リーグ戦の終盤、ドカはスィーパーに定着した。そしてナオトはバック右に定着した。
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