■8時18分 第1話「30秒のデート」
卓は、駅に急いだ。「遅刻しちゃうよ…参ったなあ」
彼は、最近ずっと7時21分発の列車に乗っている。改札口に走り込み、ホームに向かって階段を駆け上がった。1段飛ばしに、一気に駆け上がる。
ホームについたとき、列車は滑り込んできた。
「おっし、間に合った…」
ぎゅうぎゅう詰めの通勤列車に何とか乗れた。
文庫本をポケットから出し、好きな小説を読みながら…俺も慣れたもんだな、本当に、始めの頃はどうなるかと思った。けど、人間って、大したもんだ、こんな都会の暮らしにも慣れてしまうんだから…ひとり苦笑していた。
7時36分、乗り継ぎの駅につき、向かいのホームの急行に乗りかえる。
1時間弱、列車にゆられ…巨大な駅についた。文庫本をポケットにしまい、列車を降りた。
「あと2分か…」独り言が口を出た。
足早に改札口を過ぎ、いつものように左側の通路に向かった。
8時18分
「いた!」
卓は、自分の20メートルほど先を歩くスーツ姿の女性を見つけた。
「あの黒のヒールから伸びる足首からふくらはぎが格好いいんだよな〜、俺、ひょっとしてフェチかもしれない」…自然に足が速くなっていく。
彼女はいつものように通路の左側を歩いている。卓は反対側を歩き、彼女を追い越す瞬間、チラッと彼女の顔を確認した。
「やったぁ〜! きれいだよな〜…」
彼女は、前を見たまま、すっすっと歩いている。
卓は、彼女を追い越し、そのまま歩いていった。
そして反対側に渡る信号機で卓は立ち止まった。彼女も後から卓の横に並んだ。信号機の音楽が鳴りやみ、二人は渡り始めた。
横断歩道を渡り、そして卓は左側に、彼女は右側に分かれて行った。
「やった!…今日も会えた!」
「よっ、今日も朝から元気じゃん」同僚だった。
「まあね、健康、健康」卓は答えた。
彼が、最近、毎朝7時21分の列車に乗るのは、これが理由だった。
今日で2週間…
ただ、追い越して、横断歩道で並んで、そして分かれていく。
それでも卓は、楽しかった。たった30秒のデートでも
つづく…かな?
続きを読みたい方・おもしろかったと思っていただいた方は、
下のバナーをクリックしてください。
卓は、駅に急いだ。「遅刻しちゃうよ…参ったなあ」
彼は、最近ずっと7時21分発の列車に乗っている。改札口に走り込み、ホームに向かって階段を駆け上がった。1段飛ばしに、一気に駆け上がる。
ホームについたとき、列車は滑り込んできた。
「おっし、間に合った…」
ぎゅうぎゅう詰めの通勤列車に何とか乗れた。
文庫本をポケットから出し、好きな小説を読みながら…俺も慣れたもんだな、本当に、始めの頃はどうなるかと思った。けど、人間って、大したもんだ、こんな都会の暮らしにも慣れてしまうんだから…ひとり苦笑していた。
7時36分、乗り継ぎの駅につき、向かいのホームの急行に乗りかえる。
1時間弱、列車にゆられ…巨大な駅についた。文庫本をポケットにしまい、列車を降りた。
「あと2分か…」独り言が口を出た。
足早に改札口を過ぎ、いつものように左側の通路に向かった。
8時18分
「いた!」
卓は、自分の20メートルほど先を歩くスーツ姿の女性を見つけた。
「あの黒のヒールから伸びる足首からふくらはぎが格好いいんだよな〜、俺、ひょっとしてフェチかもしれない」…自然に足が速くなっていく。
彼女はいつものように通路の左側を歩いている。卓は反対側を歩き、彼女を追い越す瞬間、チラッと彼女の顔を確認した。
「やったぁ〜! きれいだよな〜…」
彼女は、前を見たまま、すっすっと歩いている。
卓は、彼女を追い越し、そのまま歩いていった。
そして反対側に渡る信号機で卓は立ち止まった。彼女も後から卓の横に並んだ。信号機の音楽が鳴りやみ、二人は渡り始めた。
横断歩道を渡り、そして卓は左側に、彼女は右側に分かれて行った。
「やった!…今日も会えた!」
「よっ、今日も朝から元気じゃん」同僚だった。
「まあね、健康、健康」卓は答えた。
彼が、最近、毎朝7時21分の列車に乗るのは、これが理由だった。
今日で2週間…
ただ、追い越して、横断歩道で並んで、そして分かれていく。
それでも卓は、楽しかった。たった30秒のデートでも
つづく…かな?
下のバナーをクリックしてください。








