■もう一つの8時18分 第8話「非ロマンチック」
翌日
不意に「彼」が佐代子を追い越した。
「え?」
チラッと自分を見たような気がした。
「うそ…わたしあくびしてなかった?」意外な感情だった。
彼は、そのまま前を向いて急ぎ足で行ってしまった。
一瞬立ち止まりそうになりながら、佐代子は体じゅうの力が抜けていくなかで、時計を見た。8時18分だった。
「なんで…もっとロマンチックとかないの?」
佐代子は受け付けにいた。
「池上先輩…先輩」
「えっ、はい、なに?」
「先輩どうかしたんですか?」
「えっ、何が?」
「だって…日誌、今の方、ナレッジの方じゃなくて、東邦金属の方ですよ」
「あっ…ごめん、ごめん…ハハハ」
受付業務…うわのそら
そして仕事が終わり…映子と居酒屋へ
佐代子「あ〜お腹すいた。ここが一番落ちつく」
映子「ねえねえ、それでどうだったのよ」
佐代子「よくわかんない…わたしって、こんなにボーとした女だったっけ」
映子「あら、ぼんくらになったわけ?」
佐代子「わたし、生ビールとカレイの唐揚げ、それに大根サラダね」
映子「私も、生ね、それとタコブツといかげそフライと塩から、それに…」
佐代子「丸っきりおやじだね…」
映子「あら、じゃぁ、あたしィ〜、ピザとかァ〜頼もうかしら…これでいい…」
佐代子「ハハハ…いいよ無理しなくて、ごめんなさいね、ピザは要らないから」
「はい、ありがとうございました」と店員は笑いをこらえながら奥に行った。
佐代子「彼ね、チラッとわたしを見たのよ、うん、見た見た…」
映子「で、反応は?」
佐代子「あくびしていたかなって心配だった」
映子「あんたじゃないわよ、彼よ」
佐代子「う〜ん、いい女だって」
映子「ほう…そろそろ帰るか」
佐代子「わかった、わかったわよ」
映子「人がせっかく真面目に聞いてやってんだからね、わかってんの」
佐代子「ごめん、ごめん…うん、見られたことは確かだと思うんだけど」
映子「でもさ、何で8時18分なのよ、それならずっと前から逢えているはずじゃない」
佐代子「うん…たまたま早かったのかな…」
映子「じゃあさ、明日だね!」
佐代子「何が?」
映子「もし、もしよ、明日、その時間に彼がまた来て、またチラッと見たら…勝ち!」
佐代子「そんなの偶然じゃない?」
映子「いやいや、それは違う」
佐代子「だから、そのおやじの話し方やめてよ」
映子「よいか、男とはそういうものじゃ、3日続いたら、おぬしの勝ちじゃぞ」
佐代子「3日か……」
映子「ねえ、突っ込んでくれないわけ?」
「おまち〜」店員がビールと塩から、大根サラダを運んできた。
映子「それでは、明日からの3連戦に備えて、乾杯!」
佐代子「うん…いただきま〜す。おいしい!」
その夜、佐代子はいつもより念入りに念入りに肌の手入れをして、早めにベッドに入った。でも…寝付けない。
「お酒も飲んだのに…」
結局、朝方まで眠れなかった佐代子、何とかクマを化粧で隠しながら
「どうしよう、厚化粧嫌いだろうな〜、このクマどうやって隠すか、下向いて歩くか…ニコッとかした方がいいのかな…」頭の中はぐちゃぐちゃだった。
駅の改札口を出て佐代子はいつものように歩き出した。ただ、昨日とは比べものにならないくらい、緊張していた。自分でもそれは気がついていた。歩き方すら、ぎこちなく思えて仕方がなかった。
耳を澄まして、彼の足音を探した。
「きっと彼は後ろから私を追い越す、どの足音?」
雑踏の中の彼の足音を聞き漏らさないように、じっと神経を自分の後ろに集中し、耳を澄ましながら歩いた。
コツコツコツ…少しリズムの早い音が近づいてくる。どんどん近づいてくる。
「彼だ…きっと彼だ。来た…」思わず、顔を上げた。
横を男が追い越していった。チラッと振り向きながら…
「彼だ」
無意識に目をそらしながら、顔が熱い、真っ赤になっていくのがわかった。思わず下を向いてしまった。
彼は、そのまま早足で行ってしまった。
「ふぅ〜ニコッなんてできるもんじゃないわなねぇ〜」
続きを読みたい方・おもしろかったと思っていただいた方は、
下のバナーをクリックしてください。
翌日
不意に「彼」が佐代子を追い越した。
「え?」
チラッと自分を見たような気がした。
「うそ…わたしあくびしてなかった?」意外な感情だった。
彼は、そのまま前を向いて急ぎ足で行ってしまった。
一瞬立ち止まりそうになりながら、佐代子は体じゅうの力が抜けていくなかで、時計を見た。8時18分だった。
「なんで…もっとロマンチックとかないの?」
佐代子は受け付けにいた。
「池上先輩…先輩」
「えっ、はい、なに?」
「先輩どうかしたんですか?」
「えっ、何が?」
「だって…日誌、今の方、ナレッジの方じゃなくて、東邦金属の方ですよ」
「あっ…ごめん、ごめん…ハハハ」
受付業務…うわのそら
そして仕事が終わり…映子と居酒屋へ
佐代子「あ〜お腹すいた。ここが一番落ちつく」
映子「ねえねえ、それでどうだったのよ」
佐代子「よくわかんない…わたしって、こんなにボーとした女だったっけ」
映子「あら、ぼんくらになったわけ?」
佐代子「わたし、生ビールとカレイの唐揚げ、それに大根サラダね」
映子「私も、生ね、それとタコブツといかげそフライと塩から、それに…」
佐代子「丸っきりおやじだね…」
映子「あら、じゃぁ、あたしィ〜、ピザとかァ〜頼もうかしら…これでいい…」
佐代子「ハハハ…いいよ無理しなくて、ごめんなさいね、ピザは要らないから」
「はい、ありがとうございました」と店員は笑いをこらえながら奥に行った。
佐代子「彼ね、チラッとわたしを見たのよ、うん、見た見た…」
映子「で、反応は?」
佐代子「あくびしていたかなって心配だった」
映子「あんたじゃないわよ、彼よ」
佐代子「う〜ん、いい女だって」
映子「ほう…そろそろ帰るか」
佐代子「わかった、わかったわよ」
映子「人がせっかく真面目に聞いてやってんだからね、わかってんの」
佐代子「ごめん、ごめん…うん、見られたことは確かだと思うんだけど」
映子「でもさ、何で8時18分なのよ、それならずっと前から逢えているはずじゃない」
佐代子「うん…たまたま早かったのかな…」
映子「じゃあさ、明日だね!」
佐代子「何が?」
映子「もし、もしよ、明日、その時間に彼がまた来て、またチラッと見たら…勝ち!」
佐代子「そんなの偶然じゃない?」
映子「いやいや、それは違う」
佐代子「だから、そのおやじの話し方やめてよ」
映子「よいか、男とはそういうものじゃ、3日続いたら、おぬしの勝ちじゃぞ」
佐代子「3日か……」
映子「ねえ、突っ込んでくれないわけ?」
「おまち〜」店員がビールと塩から、大根サラダを運んできた。
映子「それでは、明日からの3連戦に備えて、乾杯!」
佐代子「うん…いただきま〜す。おいしい!」
その夜、佐代子はいつもより念入りに念入りに肌の手入れをして、早めにベッドに入った。でも…寝付けない。
「お酒も飲んだのに…」
結局、朝方まで眠れなかった佐代子、何とかクマを化粧で隠しながら
「どうしよう、厚化粧嫌いだろうな〜、このクマどうやって隠すか、下向いて歩くか…ニコッとかした方がいいのかな…」頭の中はぐちゃぐちゃだった。
駅の改札口を出て佐代子はいつものように歩き出した。ただ、昨日とは比べものにならないくらい、緊張していた。自分でもそれは気がついていた。歩き方すら、ぎこちなく思えて仕方がなかった。
耳を澄まして、彼の足音を探した。
「きっと彼は後ろから私を追い越す、どの足音?」
雑踏の中の彼の足音を聞き漏らさないように、じっと神経を自分の後ろに集中し、耳を澄ましながら歩いた。
コツコツコツ…少しリズムの早い音が近づいてくる。どんどん近づいてくる。
「彼だ…きっと彼だ。来た…」思わず、顔を上げた。
横を男が追い越していった。チラッと振り向きながら…
「彼だ」
無意識に目をそらしながら、顔が熱い、真っ赤になっていくのがわかった。思わず下を向いてしまった。
彼は、そのまま早足で行ってしまった。
「ふぅ〜ニコッなんてできるもんじゃないわなねぇ〜」
下のバナーをクリックしてください。








