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目 次
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■もう一つの8時18分 第10話「もらい?」

 佐代子は、作戦どおり…いつもより通路の端の方を歩いていた。

 すると、昨日と同じ場所で「コツコツコツコツ」と彼の靴音が聞こえる。
 佐代子は、意識して歩く速さを遅くした。わからないように、足の進める速さは同じにして、歩幅を少しずつ狭くしていった。
どんどん音が近づいてくる。

 胸の鼓動がどんどん大きくなっていく。佐代子は深呼吸をした。

「今日こそ、まっすぐ前を向くんだ、ちゃんと彼がこっちを見てくれるか確かめたい」心の中のありったけの勇気を出して、まっすぐ前を見て歩いていた。

 彼が、自分の右後ろから来る。
 そして佐代子と並んだ。
 彼の左肩が視界に入った。
 彼の頭が動いた…こっちを…見た。

 佐代子はとっさに、視線を外して、前を見てしまった。
 彼は、すぐ前を見て横断歩道の方に早足で歩いていった。

 佐代子の足取りが速くなった。彼に追いつきたい。
 やっとのことで、信号機のところで彼に追いついた。勇気を出して、彼の横に並んだ。そして彼の横顔をチラッと見た。じっと前の信号機を見ている彼…。

 信号機が青になった。佐代子は何だか急に恥ずかしくなって、急いで横断歩道を渡って、会社に向かった。彼は反対方向に行ったはず、振り向きたかった。でも、できない。

「やった!やった…ちゃんと見てくれた」心の中でガッツポーズ
「やったじゃん」
ふいの声に佐代子は、びっくりして飛び上がった。

佐代子「え、映子」
映子「びっくりした? どうしても気になっちゃって、彼の後つけちゃった」
佐代子「しん~じらんない」
映子「すごいじゃない、ビシッと前向いてさ、いい女だったよォ~」
佐代子「そう?そう?やっぱしそう!」
映子「これってさ、やっぱ…もらい?」

二人は、なんだかルンルン気分で会社に向かった。

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