■もう一つの8時18分 第13話「乙女の勘違い」
8時18分…彼が来てくれた。あれ?今日は薄いグレーのスーツ。
佐代子が知っているのはいつも濃紺の営業マンスーツの彼だけ、さっさと佐代子を追い抜き、前を歩いていく彼を、何となく今日は少しだけゆっくり見ることができた。最初は、靴を見るのが精いっぱいだったのに…慣れちゃった?
うん、紺のスーツも素敵だけど、グレーのスーツの方が少しだけ大人びて見えた。彼が何となく頼もしく思えてきた。
いつものように信号機で止まり、彼をちらっと見て、自分の会社に向かう、絶対に振り向かないようにして。
そしていつものランチタイム
映子「ねえ、最近何も言わないけど、どう、彼は?」
佐代子「今日も会ったわよ」
映子「それで?」
佐代子「今日はね、薄いグレーのスーツだったわ、なかなか似合うんだから」
映子「…ねえ、ちょっと、それでいいわけ?」
佐代子「え?」
映子「だって、まだ声もかけてもらってないんじゃない、わかってんの?」
佐代子「うん、だから…持久戦かなって」
映子「あっ、サヨ…まずいかも」
佐代子「なにが?」
映子「あんた、ひょっとして、もう満足しちゃったんじゃない?」
佐代子「何に満足するわけ?」
映子「まったく、追い抜いて、チラッといつも見てくれるぐらいで、ゲットなんて思ってないでしょうね」
佐代子「そ〜んなこと思ってないわよ。なに言ってんのよ」
映子「あら、むきになってる…図星でしょう」
佐代子「だから…そんなことな…いって」
映子「ちょっとォ、しっかりしなよ。彼、あっちもこっちも、向こうもここもみんなチラチラ見て回ってるかもしれないじゃない」
佐代子「そんなこと…」
映子「わからないでしょう?ねぇ」
佐代子「どうしょう…いきなり変態に思えてきた。でもさ、私を見ても、ニタ〜ってしないよ」
映子「ばかね、それはたとえ話じゃない。しっかりしろってことよ」
佐代子「うん…持久戦だと思ってたけど、慣れっていうの…ドキドキしなくなっちゃったし」
映子「乙女の勘違いだね、もうゲットしたと妄想の中でルンルンなんじゃないの」
佐代子「手厳しいわねぇ、今日は…何かあった?」
映子「だから、違うって、サヨが、ちょっとボケが入ってきちゃったからさ、サヨらしくないじゃない。ビシッとしなよ」
佐代子「……だって」
映子「そうだ!次の作戦考えよう、彼に声をかけさせる作戦よ」
佐代子「だって今その作戦中でしょう」
映子「プランBってとこね…今夜、飲みいくよ、いいね」
佐代子「また、わたしのおごり?」
映子「もち」
プランB…プランAもないのに、いきなりBとは
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8時18分…彼が来てくれた。あれ?今日は薄いグレーのスーツ。
佐代子が知っているのはいつも濃紺の営業マンスーツの彼だけ、さっさと佐代子を追い抜き、前を歩いていく彼を、何となく今日は少しだけゆっくり見ることができた。最初は、靴を見るのが精いっぱいだったのに…慣れちゃった?
うん、紺のスーツも素敵だけど、グレーのスーツの方が少しだけ大人びて見えた。彼が何となく頼もしく思えてきた。
いつものように信号機で止まり、彼をちらっと見て、自分の会社に向かう、絶対に振り向かないようにして。
そしていつものランチタイム
映子「ねえ、最近何も言わないけど、どう、彼は?」
佐代子「今日も会ったわよ」
映子「それで?」
佐代子「今日はね、薄いグレーのスーツだったわ、なかなか似合うんだから」
映子「…ねえ、ちょっと、それでいいわけ?」
佐代子「え?」
映子「だって、まだ声もかけてもらってないんじゃない、わかってんの?」
佐代子「うん、だから…持久戦かなって」
映子「あっ、サヨ…まずいかも」
佐代子「なにが?」
映子「あんた、ひょっとして、もう満足しちゃったんじゃない?」
佐代子「何に満足するわけ?」
映子「まったく、追い抜いて、チラッといつも見てくれるぐらいで、ゲットなんて思ってないでしょうね」
佐代子「そ〜んなこと思ってないわよ。なに言ってんのよ」
映子「あら、むきになってる…図星でしょう」
佐代子「だから…そんなことな…いって」
映子「ちょっとォ、しっかりしなよ。彼、あっちもこっちも、向こうもここもみんなチラチラ見て回ってるかもしれないじゃない」
佐代子「そんなこと…」
映子「わからないでしょう?ねぇ」
佐代子「どうしょう…いきなり変態に思えてきた。でもさ、私を見ても、ニタ〜ってしないよ」
映子「ばかね、それはたとえ話じゃない。しっかりしろってことよ」
佐代子「うん…持久戦だと思ってたけど、慣れっていうの…ドキドキしなくなっちゃったし」
映子「乙女の勘違いだね、もうゲットしたと妄想の中でルンルンなんじゃないの」
佐代子「手厳しいわねぇ、今日は…何かあった?」
映子「だから、違うって、サヨが、ちょっとボケが入ってきちゃったからさ、サヨらしくないじゃない。ビシッとしなよ」
佐代子「……だって」
映子「そうだ!次の作戦考えよう、彼に声をかけさせる作戦よ」
佐代子「だって今その作戦中でしょう」
映子「プランBってとこね…今夜、飲みいくよ、いいね」
佐代子「また、わたしのおごり?」
映子「もち」
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