■もう一つの8時18分 第18話「にいちゃん」
佐代子の部屋の電話が鳴った。
「あ、俺だ…お前何してんだ?」
「兄ちゃん…何もしてないよ。ねえ、お願いだから、いつも突然電話かけてきて、お前何やってんだって言うのやめてくれない。」
「そうか、いつも言ってるか?」
「うん、いつも何やってんだって、叱られてるみたいで…」
「あのさ、あした泊めろよ、出張だ。」
「そうなんだ、で何時…」
「じゃあな…。」
どうして人の話を聞かないかな〜なんで切っちゃうのよ。まったくどういう教育したのよねぇ。
佐代子には、4つ年上の兄がいた。不思議なことに、小さいころから一緒に歩いていて、兄弟と見らることがほとんどない。佐代子が中学の頃、一緒に並んで歩くと、兄より背が高かった。でも、佐代子が中学生になっても手をつないで、いろんなところに連れていってくれた。
佐代子の兄は、大手建設会社の現場監督だった。現場を周りながら、難関の建築や土木の国家試験をパスし、設計部門に入ったが、どうも肌に合わなかったのか現場に戻ってきた変わり者だった。いつも全国、いや世界中の現場を渡り歩いてきた。そしてまだ独身。
会社のランチタイム
佐代子「兄ちゃんが来るのよ」
映子「キャー、あのお兄さんが来るわけ…ねえ、会わせてよ」
佐代子「いいよ、お嫁さんになってあげてよ」
映子「…いや、それはまた別のお話で…ね」
佐代子「やっぱ、いないもんね、家に」
映子「ほとんど母子家庭になるような気がする」
佐代子「そうかもね、設計に戻ってくれると、また違うんだろうけど」
映子「でもさ、お兄さん、かなり魅力的だよ、野生というか、気合いというか、男というか、う〜ん、石原裕次郎でなく高倉健、吉本でなく松竹新喜劇、恋愛ドラマでなくプロジェクトエックス…」
佐代子「ねえ、変な誉め方やめてくれない」
映子「工事は困難を極めた。そのとき一人の日本人監督が来た。アフリカの難工事を克服したミスター工事、池上和雄だった。ジャガジャガじゃ〜ん。ここで音楽…わたし、あれ好きなのよ〜もう見てると泣いちゃうのよね。ロマンだわ、ロマン」
佐代子「…まだあるの?」
映子「だから、なんであんな情熱の固まりの妹が、こんなんなのかね」
佐代子「あのね、兄妹ってそういうものでしょう、兄ちゃん見ていれば、自然こっちが反対側になっちゃうというかさ、あんたの弟だってそうじゃないの…違うかしら〜」
映子「まあ〜あの子は、わたくしの教育がよかったか、おかげさまで、小さいころから、日本のかじ取りをするんだなどと申しまして、東京大学という大学、ご存じ?そこから財務省って、ご存じかしら? 昔の大蔵省でございますの、そちらの方でちょっと…まあ、大したことはございませんのよ、ホホホホホ…」
佐代子「でもさ、その反動ってすごいよね、ものすごいパワーよね」
映子「だれが反動やねん、わたくしと同じ遺伝子でございますわよ、誤解なさらないで、オッホホホホホホホホ」
佐代子「はい、はい、わかりました」
佐代子は、兄にメールを送った。
「何時に来るの?」
退社時間になっても、兄からは返事が来なかった。
「もう…ほんとに勝手なんだから」
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佐代子の部屋の電話が鳴った。
「あ、俺だ…お前何してんだ?」
「兄ちゃん…何もしてないよ。ねえ、お願いだから、いつも突然電話かけてきて、お前何やってんだって言うのやめてくれない。」
「そうか、いつも言ってるか?」
「うん、いつも何やってんだって、叱られてるみたいで…」
「あのさ、あした泊めろよ、出張だ。」
「そうなんだ、で何時…」
「じゃあな…。」
どうして人の話を聞かないかな〜なんで切っちゃうのよ。まったくどういう教育したのよねぇ。
佐代子には、4つ年上の兄がいた。不思議なことに、小さいころから一緒に歩いていて、兄弟と見らることがほとんどない。佐代子が中学の頃、一緒に並んで歩くと、兄より背が高かった。でも、佐代子が中学生になっても手をつないで、いろんなところに連れていってくれた。
佐代子の兄は、大手建設会社の現場監督だった。現場を周りながら、難関の建築や土木の国家試験をパスし、設計部門に入ったが、どうも肌に合わなかったのか現場に戻ってきた変わり者だった。いつも全国、いや世界中の現場を渡り歩いてきた。そしてまだ独身。
会社のランチタイム
佐代子「兄ちゃんが来るのよ」
映子「キャー、あのお兄さんが来るわけ…ねえ、会わせてよ」
佐代子「いいよ、お嫁さんになってあげてよ」
映子「…いや、それはまた別のお話で…ね」
佐代子「やっぱ、いないもんね、家に」
映子「ほとんど母子家庭になるような気がする」
佐代子「そうかもね、設計に戻ってくれると、また違うんだろうけど」
映子「でもさ、お兄さん、かなり魅力的だよ、野生というか、気合いというか、男というか、う〜ん、石原裕次郎でなく高倉健、吉本でなく松竹新喜劇、恋愛ドラマでなくプロジェクトエックス…」
佐代子「ねえ、変な誉め方やめてくれない」
映子「工事は困難を極めた。そのとき一人の日本人監督が来た。アフリカの難工事を克服したミスター工事、池上和雄だった。ジャガジャガじゃ〜ん。ここで音楽…わたし、あれ好きなのよ〜もう見てると泣いちゃうのよね。ロマンだわ、ロマン」
佐代子「…まだあるの?」
映子「だから、なんであんな情熱の固まりの妹が、こんなんなのかね」
佐代子「あのね、兄妹ってそういうものでしょう、兄ちゃん見ていれば、自然こっちが反対側になっちゃうというかさ、あんたの弟だってそうじゃないの…違うかしら〜」
映子「まあ〜あの子は、わたくしの教育がよかったか、おかげさまで、小さいころから、日本のかじ取りをするんだなどと申しまして、東京大学という大学、ご存じ?そこから財務省って、ご存じかしら? 昔の大蔵省でございますの、そちらの方でちょっと…まあ、大したことはございませんのよ、ホホホホホ…」
佐代子「でもさ、その反動ってすごいよね、ものすごいパワーよね」
映子「だれが反動やねん、わたくしと同じ遺伝子でございますわよ、誤解なさらないで、オッホホホホホホホホ」
佐代子「はい、はい、わかりました」
佐代子は、兄にメールを送った。
「何時に来るの?」
退社時間になっても、兄からは返事が来なかった。
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