■もう一つの8時18分 第29話「鳴らない携帯」
佐代子の携帯にはメールが来ていた。見ると
「サイコーの女だったぜ!」
映子からだった。どこからか、一部始終を見ていたらしい。佐代子は見られていた恥ずかしさを感じながらも、映子の優しさに心から感謝した。
あと30分ほどで定時になる。佐代子は、映子にメールを送った。
「ディナーなんかどう?」
すると、すぐさま
「サンキュー、もちろんゴチね!」と返事が来た。
「いいよ。じゃあ、帰りにそっちに寄るね」佐代子も返事を送った。
二人は、静かな座敷のある「てんぷら」の店に入った。
小さな座敷に通され
佐代子「いい感じでしょう、このお店」
映 子「ねえ、いいの、ここ高いんでしょう?」
佐代子「まあ、今の私の気持ちね」
映 子「それにしても、すごい展開だったじゃない、まさかデートを申し込むとはね」
佐代子「ふふふ…ほんとね」
ふすまの向こうから声がし、店員に料理を注文を取りに来た。
佐代子「てん盛り二人前と生ビール2つ、お願いします」
店員は「はい、ありがとうございます」と言いながら、下がっていった。
映 子「携帯教えたんだったよね」
佐代子「うん」
映 子「じゃあ、今、かかってくるかもしれないじゃない」
佐代子「そうね、まあそのときはそのときで…」
映 子「あれ?なんか冷めてない」
佐代子「て、いうかさ、完全燃焼よね…疲れちゃって、もうバテバテ」
映 子「そっか、そうよね、でもさ、格好よかったよ〜惚れ惚れしちゃった。あそこまで完璧にできるとは思わなかったもん」
佐代子「一世一代の大芝居打っちゃった感じ」
映 子「でさ、もし今夜電話がないとすると、明日の朝が気まずいよね…どうするの?」
佐代子「ずっと、それを考えていたのよ、どうしたらいいかな〜」
映 子「もし、電話がなかったら…」
佐代子「わたし、明日は早く出社する。会わないように…。」
映 子「…なるほど、それもいい手ね、あくまで強気でいくか」
佐代子「そういうわけじゃないんだけど…電話もくれない人に、明日、合わせる顔がないもん」
映 子「連絡くださらなかったのね、な〜んて言えないよね」
佐代子「その時点で形勢逆転だよね、今日の一世一代の大芝居がふいになっちゃう」
料理が運ばれてきた。
佐代子「じゃあ、今日はありがとうね、感謝の意味を込めて」
映 子「成功を祈って、カンパイ!」

その夜、部屋に戻った佐代子は、じっと携帯を見詰めていた。
「鳴って、お願いだから」
シャワーのときも、近くに携帯を置いておいた。
「早く…鳴れ」
ベッドの枕元に携帯を置いて、ベッドの中からテレビを見ていた。
「鳴れ、このバカ…もう知らない」
そして、テレビを消し、灯りを消した。
「手強いわね…それとも天然?」
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佐代子の携帯にはメールが来ていた。見ると
「サイコーの女だったぜ!」
映子からだった。どこからか、一部始終を見ていたらしい。佐代子は見られていた恥ずかしさを感じながらも、映子の優しさに心から感謝した。
あと30分ほどで定時になる。佐代子は、映子にメールを送った。
「ディナーなんかどう?」
すると、すぐさま
「サンキュー、もちろんゴチね!」と返事が来た。
「いいよ。じゃあ、帰りにそっちに寄るね」佐代子も返事を送った。
二人は、静かな座敷のある「てんぷら」の店に入った。
小さな座敷に通され
佐代子「いい感じでしょう、このお店」
映 子「ねえ、いいの、ここ高いんでしょう?」
佐代子「まあ、今の私の気持ちね」
映 子「それにしても、すごい展開だったじゃない、まさかデートを申し込むとはね」
佐代子「ふふふ…ほんとね」
ふすまの向こうから声がし、店員に料理を注文を取りに来た。
佐代子「てん盛り二人前と生ビール2つ、お願いします」
店員は「はい、ありがとうございます」と言いながら、下がっていった。
映 子「携帯教えたんだったよね」
佐代子「うん」
映 子「じゃあ、今、かかってくるかもしれないじゃない」
佐代子「そうね、まあそのときはそのときで…」
映 子「あれ?なんか冷めてない」
佐代子「て、いうかさ、完全燃焼よね…疲れちゃって、もうバテバテ」
映 子「そっか、そうよね、でもさ、格好よかったよ〜惚れ惚れしちゃった。あそこまで完璧にできるとは思わなかったもん」
佐代子「一世一代の大芝居打っちゃった感じ」
映 子「でさ、もし今夜電話がないとすると、明日の朝が気まずいよね…どうするの?」
佐代子「ずっと、それを考えていたのよ、どうしたらいいかな〜」
映 子「もし、電話がなかったら…」
佐代子「わたし、明日は早く出社する。会わないように…。」
映 子「…なるほど、それもいい手ね、あくまで強気でいくか」
佐代子「そういうわけじゃないんだけど…電話もくれない人に、明日、合わせる顔がないもん」
映 子「連絡くださらなかったのね、な〜んて言えないよね」
佐代子「その時点で形勢逆転だよね、今日の一世一代の大芝居がふいになっちゃう」
料理が運ばれてきた。
佐代子「じゃあ、今日はありがとうね、感謝の意味を込めて」
映 子「成功を祈って、カンパイ!」

その夜、部屋に戻った佐代子は、じっと携帯を見詰めていた。
「鳴って、お願いだから」
シャワーのときも、近くに携帯を置いておいた。
「早く…鳴れ」
ベッドの枕元に携帯を置いて、ベッドの中からテレビを見ていた。
「鳴れ、このバカ…もう知らない」
そして、テレビを消し、灯りを消した。
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