■もう一つの8時18分 第33話「なんか幸せ!」
そして、ついにその日曜日
佐代子は、昨日、買ったばかりの薄ピンクのワンピースを着て家を出た。列車に乗り、約束の場所まで40分程度、列車に揺られながら、窓に映る自分を入念にチェックしていた。
「まあまあかな」
久しぶりに気合いの入った自分の格好にかなり満足していた。このワンピースも、何軒も店を回って、悩んで悩んでちょっとボディラインの出るのを探し当てた。かわいいものなら幾らでもあるんだけど、この系統の色でちょっぴりセクシーさを出すものは本当に少なかった。
「彼はどんな格好してくるんだろう?」やっぱり気になるのは、彼とのバランスだった。最初のデートだもん、ジーンズってことないよね…。
駅の改札を出た。待ち合わせの時間までまだ10分ほど時間があった。ゆったりした歩みで心を落ちつかせながら約束の場所に向かった。だんだん胸がドキドキしてきた。
約束の場所のど真ん中に彼が立っているのが見えた。彼もこっちに気がついたようだった。
佐代子は、なんだか急にうれしくなって、早足で彼のところに向かった。
彼の視線が自分の全身に注がれていることがなんだかとても恥ずかしかった。
彼は、Tシャツの上に、白っぽい麻のようなジャケット、そのジャケットより少し濃いめの色のコットンパンツを履いていた。カッコいい…。「ごめんなさい、お待ちになりましたか?」
「はい」と彼は答えた。
「……」待たせちゃったんだ…もう一本早くくればよかったかな?目の前に立つと、彼ってこんなに背の高い人だったんだ。少し驚いた。
「い、いえ、今来たところです」と彼が、佐代子の表情を見てかばってくれた。
彼は、「行こうか…」と佐代子をリードした。佐代子は彼の後に続いた。
彼は、シネタワーに向かっていた。ずっと黙っていても仕方ないし…。
「映画ですよね?」佐代子は彼に会話の口火を切ってあげた。
「ええ、シネタワーに行けば何かあるかと思って」
シネタワーまでの数分間、彼は何も言わずに歩いている。佐代子は、ちょっと不安な気持ちになりながら、人混みの中をついていった。
「織田裕二の映画をやっていますね、どうです?」と彼が振り返りながら言った。
映画…私は何でもいいんだけど…
「私、柴咲コウちゃんのファンなんです」
佐代子の返事に彼は満足そうに、切符を買いに行ってくれた。
館内はかなり込んでいた。映画は始まっていた。
意外におもしろい映画に佐代子は見入ってしまった。楽しい場面では笑い声を上げて笑っていた。ふと気づくと、そんな自分を笑顔で見ている彼が横にいてくれた。
昨日までの緊張感がうそのように解けていた。これも彼の人柄なのかもしれない。
なんか…幸せ!
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そして、ついにその日曜日
佐代子は、昨日、買ったばかりの薄ピンクのワンピースを着て家を出た。列車に乗り、約束の場所まで40分程度、列車に揺られながら、窓に映る自分を入念にチェックしていた。
「まあまあかな」
久しぶりに気合いの入った自分の格好にかなり満足していた。このワンピースも、何軒も店を回って、悩んで悩んでちょっとボディラインの出るのを探し当てた。かわいいものなら幾らでもあるんだけど、この系統の色でちょっぴりセクシーさを出すものは本当に少なかった。
「彼はどんな格好してくるんだろう?」やっぱり気になるのは、彼とのバランスだった。最初のデートだもん、ジーンズってことないよね…。
駅の改札を出た。待ち合わせの時間までまだ10分ほど時間があった。ゆったりした歩みで心を落ちつかせながら約束の場所に向かった。だんだん胸がドキドキしてきた。
約束の場所のど真ん中に彼が立っているのが見えた。彼もこっちに気がついたようだった。
佐代子は、なんだか急にうれしくなって、早足で彼のところに向かった。
彼の視線が自分の全身に注がれていることがなんだかとても恥ずかしかった。
彼は、Tシャツの上に、白っぽい麻のようなジャケット、そのジャケットより少し濃いめの色のコットンパンツを履いていた。カッコいい…。「ごめんなさい、お待ちになりましたか?」
「はい」と彼は答えた。
「……」待たせちゃったんだ…もう一本早くくればよかったかな?目の前に立つと、彼ってこんなに背の高い人だったんだ。少し驚いた。
「い、いえ、今来たところです」と彼が、佐代子の表情を見てかばってくれた。
彼は、「行こうか…」と佐代子をリードした。佐代子は彼の後に続いた。
彼は、シネタワーに向かっていた。ずっと黙っていても仕方ないし…。
「映画ですよね?」佐代子は彼に会話の口火を切ってあげた。
「ええ、シネタワーに行けば何かあるかと思って」
シネタワーまでの数分間、彼は何も言わずに歩いている。佐代子は、ちょっと不安な気持ちになりながら、人混みの中をついていった。
「織田裕二の映画をやっていますね、どうです?」と彼が振り返りながら言った。
映画…私は何でもいいんだけど…
「私、柴咲コウちゃんのファンなんです」
佐代子の返事に彼は満足そうに、切符を買いに行ってくれた。
館内はかなり込んでいた。映画は始まっていた。
意外におもしろい映画に佐代子は見入ってしまった。楽しい場面では笑い声を上げて笑っていた。ふと気づくと、そんな自分を笑顔で見ている彼が横にいてくれた。
昨日までの緊張感がうそのように解けていた。これも彼の人柄なのかもしれない。
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