■青春の探検部「川下り 大ボケ・小ボケ?」
今でこそ、川下りのことを「ラフティング」なる言葉でスポーティに表現し、吉野川でもゴムボートで急流下りを楽しむアウトドアスポーツのようなもになっているが、俺たちの時代は…古くさいが、探検だった。
いや、それは探検ではなく、冒険ではないか…そんな議論も酒を飲みながらやった青春時代、でも探検部での川下りは目的ではなく、手段に過ぎないのだ。目的地へ奥深く入り込むため、川を下る。その手段のために川下りを行う…そんな議論をした覚えがかすかにある。
さて、そんなことはさて置き…
陽が昇った。おれたちは朝飯をつくり、先輩を起こし、飯を食いながら先輩の説明を聞いていた。
大先輩が、朝飯のおじやを食いながら、叫んだ!
「大歩危(おおぼけ)やしね…」
「小歩危(こぼけ)もあるしね…」
「ちょっとでも、横向いたら、終わりやしね…」
「ここからちょっと行ったら、両側は崖やしね、もう岸に逃げられへんねんしね…」
「もし、下手こいて落ちたら、何でもええからつかまって、流されたらあかんしね…」
「一番怖いのは、岩にぶち当たって、腕折ったり、足折って、うごけんようになって、そのまま沈むことやしね…」
3年生の大先輩の単文の、そして間の取った説明がいやに肝に来た。
ボートの空気圧を調整し、装備を積み込み、濡れて困るものはすべて防水バッグに入れた。4人が位置につき、さあ、行こうとしたとき…大先輩が言った。
「ハシモト、左バック」それを聞いた2年生が、大先輩に方を振り返りながら
「ウッソ〜なんで1年がかじ取りなんで」
「アホ、死にたいんか」大先輩の一言で、ぶつぶつ言いながら2年生は、俺の頭を一発殴りながらもボートの前についた。
いや〜俺は、最高の気分だった。
一生懸命練習したかいがあった。保津川での訓練中、何度かバックにつかせてもらって練習はしていた。はっきり言うが、2年生の先輩より俺の方がずっとうまいと自分でも思ってはいた。
だが、そんなこと口に出したら…しばられる。とてもとても言えなかった。
どうも、2年生の先輩、気が小さくて、ボートの外に思い切り体重をかけられないために、旋回のスピードがおくれて何度か岩を直前で抜けられず、ぶち当たったことがあった。
ドキドキしながら、後ろからボートを押して、流れに乗せ、左バックについた。ボートは真ん中の流れに乗り、下り始めていった。
「大歩危(オオボケ)行くしねェ〜」
大先輩の変てこな大声が、早朝の吉野川にこだました。
つづく
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今でこそ、川下りのことを「ラフティング」なる言葉でスポーティに表現し、吉野川でもゴムボートで急流下りを楽しむアウトドアスポーツのようなもになっているが、俺たちの時代は…古くさいが、探検だった。
いや、それは探検ではなく、冒険ではないか…そんな議論も酒を飲みながらやった青春時代、でも探検部での川下りは目的ではなく、手段に過ぎないのだ。目的地へ奥深く入り込むため、川を下る。その手段のために川下りを行う…そんな議論をした覚えがかすかにある。
さて、そんなことはさて置き…
陽が昇った。おれたちは朝飯をつくり、先輩を起こし、飯を食いながら先輩の説明を聞いていた。
大先輩が、朝飯のおじやを食いながら、叫んだ!
「大歩危(おおぼけ)やしね…」
「小歩危(こぼけ)もあるしね…」
「ちょっとでも、横向いたら、終わりやしね…」
「ここからちょっと行ったら、両側は崖やしね、もう岸に逃げられへんねんしね…」
「もし、下手こいて落ちたら、何でもええからつかまって、流されたらあかんしね…」
「一番怖いのは、岩にぶち当たって、腕折ったり、足折って、うごけんようになって、そのまま沈むことやしね…」
3年生の大先輩の単文の、そして間の取った説明がいやに肝に来た。
ボートの空気圧を調整し、装備を積み込み、濡れて困るものはすべて防水バッグに入れた。4人が位置につき、さあ、行こうとしたとき…大先輩が言った。
「ハシモト、左バック」それを聞いた2年生が、大先輩に方を振り返りながら
「ウッソ〜なんで1年がかじ取りなんで」
「アホ、死にたいんか」大先輩の一言で、ぶつぶつ言いながら2年生は、俺の頭を一発殴りながらもボートの前についた。
いや〜俺は、最高の気分だった。
一生懸命練習したかいがあった。保津川での訓練中、何度かバックにつかせてもらって練習はしていた。はっきり言うが、2年生の先輩より俺の方がずっとうまいと自分でも思ってはいた。
だが、そんなこと口に出したら…しばられる。とてもとても言えなかった。
どうも、2年生の先輩、気が小さくて、ボートの外に思い切り体重をかけられないために、旋回のスピードがおくれて何度か岩を直前で抜けられず、ぶち当たったことがあった。
ドキドキしながら、後ろからボートを押して、流れに乗せ、左バックについた。ボートは真ん中の流れに乗り、下り始めていった。
「大歩危(オオボケ)行くしねェ〜」
大先輩の変てこな大声が、早朝の吉野川にこだました。
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