■もう一つの8時18分 第37話「大きな手」
「出ようか?」卓が言った。
「えっ?」
下を向いていた佐代子にそんな表情が浮かんだ。(いいように解釈してくれると思ったのに…)
「は、はい…ちょっとお化粧直してきます。」佐代子は力なく返事をし、化粧室に行った。
鏡の前で、だんだん不安になっていく自分がいた。だって、彼も明るい表情になったじゃない。みんな納得して、飲み込んできたんじゃないの?それとも本当は怒っているの?
化粧を直し、席に戻ってきた。
彼は、佐代子が戻ってくるのを見ると、すっと席を立ち、伝票を持った。(もう立つの?そんなに早く出なくても…)
佐代子が戻ってくると
「じゃあ、行こうか」彼は、さっさとレジに向かった。
佐代子は卓の後に続いた。
「カラン…」ドアのカウベルの力無い音が鳴った。
二人は店を出た。彼が車道側の方に歩いていくのに佐代子は続いた。彼が立ち止まって、振り返りながら言った。
「腹減りませんか? 俺、やっぱり餃子が食いたいんだけど、いいかな?」
振り返った彼の顔は、とっても優しい顔になっていた。佐代子も思わず
「はい、ぜひ」
佐代子が返事をすると、もう歩き出した彼におくれないように一生懸命ついていった。
彼は、歩きながら佐代子の方を向いて
「岩太っていう店がこの先にあるだよ、そこの特製餃子がうまいんだよ。でっかいしね…カリッとしているのが好きなんだな〜俺、腹減っちゃって…」
(なんだ…お腹すいていたの、もう、まったく、どうしてくれるのよ…泣きそうだったんだから)
「へえ、そうなんですか、いつも餃子と何を召し上がるんですか?」佐代子は急ぎ足で歩きながら一生懸命会話をしていた。
「スタミナカツラーメンと麦飯だな、これがまた最高なんだよ」
「そんなに召し上がるんですか?」驚いてみせた。
「ハハハ、うまいものは食えるもんだよ」そう言いながら、彼は、佐代子に手を差し伸べた。

佐代子は、一瞬、彼の顔を見て、笑顔で彼の大きな手のひらに自分の手を重ねた。
おおきな手は温かかった。
おわり
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「出ようか?」卓が言った。
「えっ?」
下を向いていた佐代子にそんな表情が浮かんだ。(いいように解釈してくれると思ったのに…)
「は、はい…ちょっとお化粧直してきます。」佐代子は力なく返事をし、化粧室に行った。
鏡の前で、だんだん不安になっていく自分がいた。だって、彼も明るい表情になったじゃない。みんな納得して、飲み込んできたんじゃないの?それとも本当は怒っているの?
化粧を直し、席に戻ってきた。
彼は、佐代子が戻ってくるのを見ると、すっと席を立ち、伝票を持った。(もう立つの?そんなに早く出なくても…)
佐代子が戻ってくると
「じゃあ、行こうか」彼は、さっさとレジに向かった。
佐代子は卓の後に続いた。
「カラン…」ドアのカウベルの力無い音が鳴った。
二人は店を出た。彼が車道側の方に歩いていくのに佐代子は続いた。彼が立ち止まって、振り返りながら言った。
「腹減りませんか? 俺、やっぱり餃子が食いたいんだけど、いいかな?」
振り返った彼の顔は、とっても優しい顔になっていた。佐代子も思わず
「はい、ぜひ」
佐代子が返事をすると、もう歩き出した彼におくれないように一生懸命ついていった。
彼は、歩きながら佐代子の方を向いて
「岩太っていう店がこの先にあるだよ、そこの特製餃子がうまいんだよ。でっかいしね…カリッとしているのが好きなんだな〜俺、腹減っちゃって…」
(なんだ…お腹すいていたの、もう、まったく、どうしてくれるのよ…泣きそうだったんだから)
「へえ、そうなんですか、いつも餃子と何を召し上がるんですか?」佐代子は急ぎ足で歩きながら一生懸命会話をしていた。
「スタミナカツラーメンと麦飯だな、これがまた最高なんだよ」
「そんなに召し上がるんですか?」驚いてみせた。
「ハハハ、うまいものは食えるもんだよ」そう言いながら、彼は、佐代子に手を差し伸べた。

佐代子は、一瞬、彼の顔を見て、笑顔で彼の大きな手のひらに自分の手を重ねた。
おおきな手は温かかった。
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