■青春の探検部「川下り 訓練なのだ」
一発目の「瀬」は、無事に、それもかなり楽勝な感じで越えることができた。
何だか不思議な自信が俺の中に、いや、少なくとも1年坊主の俺とソノダにはできた。
全身びしょぬれになった冷たさがようやく染みてきた。
「お〜寒い」
渓谷になっているところでは陽が当たらない。グッと冷えてくる。
「さあ、そろそろ、ええやろ…訓練するで」大先輩の声がかかった。
吉野川といえども訓練なのだ。いつもそう…訓練ばっかりの変なクラブだった。
山登りはもっとひどかった。
奈良県吉野の大峯山脈を1週間かけて縦走する訓練だった。この縦走に備えて、山登りのド素人の俺たち1年生は、毎日走らされ、30キロのザックを背負って体力づくりをし、毎週土日は先輩に連れられて滋賀県比良山脈に一泊2日の合宿をやった。
大峰山脈、この山脈は雨と霧が多く、晴れた日はほとんどなかったように記憶している。2年生が先頭をとり、1年生の後に必ず先輩が一人ずつ張りつく形、そして最後には部長が陣取っていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」苦しい自分の息の音だけしか聞こえなかった。
何とか体力もついたと思っていた俺たち1年は、登り始めて10分もたたないうちに、先輩たちの登るスピードについていけなくなってきた。少しずつ遅れ、その都度、「ほら〜何しとるんや、早う登らんかい」と後ろの先輩に怒鳴られる。あちこちで1年生が怒鳴られていた。
10分程度の休憩をとりながら、どんどん頂上を目指して登っていく。だが、雨と霧のために何も見えない。雨ガッパは、汗なのか水なのか、霧のせいなのか、中はビショビショに濡れて、何の役に立つのかわからないぐらいだった。
そしてやっと一つ目の頂上に着いた。うれしかった!
「やった、頂上」と1年生は喜んだ。

だが、そこで記念撮影をするでもなく、何と休憩すらとらず。
先頭の先輩は、
「次へ行こう」と下りだした。
そして、また苦労して登り、やっと着いた次の頂上も、その次の頂上も…素通り
これも訓練だからだそうだ。ここの頂上が目的ではないからだそうだ。
だから、この山登りを楽しいと思ったことがなかった。
さて、吉野川だった。
大先輩も体が冷えてきたのだろう、オールの訓練をすると言い出した。京都の保津川で何度も何度もやった練習を、流れのほとんどないようなトロでやれということだった。
右旋回、左旋回、何度も何度もやり、体がだんだん熱くなってきた。腕は、だんだん棒のようになり、握力が落ちてくる。
すると大先輩、「川上に向かって全力で漕げ〜」と命令
幾ら、流れがないようなトロでも、逆走するという発想が信じられなかった。
言われればしようがない、もうやるしか道はないのだ。ガンガン漕いだ、必死に漕いだ。
だが、ゴムボートは水の抵抗が余りに大きい。ほんのちょっとの流れに逆らうにも途方もないほど力が要ることが体でわかった。全く進まない。どんなに漕いでも、少しずつ少しずつ流されていく…。ヘラヘラになってバテたころ。
「あ〜しんどい、終わり」とやっと大先輩のお許しが出て訓練は終わり
こんなことを一つの「瀬」を越えるごとにやっているので、全然前に進むことができない。
俺たちは、大歩危の瀬を何度も越えながら、今日のキャンプ地点に無事ついた。
腕と腰がパンパンになっていた。
明日は、あの激流「小歩危」に向かう
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一発目の「瀬」は、無事に、それもかなり楽勝な感じで越えることができた。
何だか不思議な自信が俺の中に、いや、少なくとも1年坊主の俺とソノダにはできた。
全身びしょぬれになった冷たさがようやく染みてきた。
「お〜寒い」
渓谷になっているところでは陽が当たらない。グッと冷えてくる。
「さあ、そろそろ、ええやろ…訓練するで」大先輩の声がかかった。
吉野川といえども訓練なのだ。いつもそう…訓練ばっかりの変なクラブだった。
山登りはもっとひどかった。
奈良県吉野の大峯山脈を1週間かけて縦走する訓練だった。この縦走に備えて、山登りのド素人の俺たち1年生は、毎日走らされ、30キロのザックを背負って体力づくりをし、毎週土日は先輩に連れられて滋賀県比良山脈に一泊2日の合宿をやった。
大峰山脈、この山脈は雨と霧が多く、晴れた日はほとんどなかったように記憶している。2年生が先頭をとり、1年生の後に必ず先輩が一人ずつ張りつく形、そして最後には部長が陣取っていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」苦しい自分の息の音だけしか聞こえなかった。
何とか体力もついたと思っていた俺たち1年は、登り始めて10分もたたないうちに、先輩たちの登るスピードについていけなくなってきた。少しずつ遅れ、その都度、「ほら〜何しとるんや、早う登らんかい」と後ろの先輩に怒鳴られる。あちこちで1年生が怒鳴られていた。
10分程度の休憩をとりながら、どんどん頂上を目指して登っていく。だが、雨と霧のために何も見えない。雨ガッパは、汗なのか水なのか、霧のせいなのか、中はビショビショに濡れて、何の役に立つのかわからないぐらいだった。
そしてやっと一つ目の頂上に着いた。うれしかった!
「やった、頂上」と1年生は喜んだ。

だが、そこで記念撮影をするでもなく、何と休憩すらとらず。
先頭の先輩は、
「次へ行こう」と下りだした。
そして、また苦労して登り、やっと着いた次の頂上も、その次の頂上も…素通り
これも訓練だからだそうだ。ここの頂上が目的ではないからだそうだ。
だから、この山登りを楽しいと思ったことがなかった。
さて、吉野川だった。
大先輩も体が冷えてきたのだろう、オールの訓練をすると言い出した。京都の保津川で何度も何度もやった練習を、流れのほとんどないようなトロでやれということだった。
右旋回、左旋回、何度も何度もやり、体がだんだん熱くなってきた。腕は、だんだん棒のようになり、握力が落ちてくる。
すると大先輩、「川上に向かって全力で漕げ〜」と命令
幾ら、流れがないようなトロでも、逆走するという発想が信じられなかった。
言われればしようがない、もうやるしか道はないのだ。ガンガン漕いだ、必死に漕いだ。
だが、ゴムボートは水の抵抗が余りに大きい。ほんのちょっとの流れに逆らうにも途方もないほど力が要ることが体でわかった。全く進まない。どんなに漕いでも、少しずつ少しずつ流されていく…。ヘラヘラになってバテたころ。
「あ〜しんどい、終わり」とやっと大先輩のお許しが出て訓練は終わり
こんなことを一つの「瀬」を越えるごとにやっているので、全然前に進むことができない。
俺たちは、大歩危の瀬を何度も越えながら、今日のキャンプ地点に無事ついた。
腕と腰がパンパンになっていた。
明日は、あの激流「小歩危」に向かう
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