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目 次
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■ただ聞くだけ受験会場
 私立高校の受験の結果がちらほらと出だし、俺の塾でも、ふわついた空気が漂い始めた。
 これまた毎年のことなのだが、高校受験、私立の推薦から始まり公立・私立の二次試験の結果まで、すべての生徒たちの結果が出るまでの2カ月間、これほど胃の痛い日々はない。そしてこの時期になると必ず思い出すことがある。

 塾に通ってくれる。ある受験生の女の子がいた。
結構、かわいい子で男子にもちろん人気もあって、かわいい顔にはちょっと似合わない男っぽい、スカッとした性格の子だった。そこがまたよかった。
「先生、これでいいんだろ」なんて、男まさりの口調でニコニコしながら話す姿は、そのアンバランスからか、とても微笑ましかった。

 ある日、その子のお母さんから電話が来た。
「先生、ちょっとご相談が…」その声の調子から、その子に何かが起こったことがすぐにわかった。

俺は、お母さんと時間を合わせて、塾で待っていた。
ドアが開き、お母さんが来られた。
そして「沙紀、どうかしましたか?」と尋ねると
「机から離れてくれないんです」とお母さんが言った。
 お母さんの話を黙って聞いた。

 沙紀は、3日ほど前から夕食を一緒に取らないようになったという
「ごはんですよ」というお母さんの声に
「う~ん、もうちょっとしたら」そんな沙紀の返事に、お母さんは「頑張っているのね」と、仕方ないわね、と思ったそうだ。
ところが、夕食を食べた形跡もなく「食欲不振」なんて言い出した。

 次の日、沙紀は体調が悪いと学校を休んだ。
そして机にへばりついていた。
「そんなに無理しないで、体調悪いんでしよう」お母さんの声も沙紀には届かなくなっていた。

 そして昨日、お母さんは、沙紀が私が言っても聞かないので、主人が沙紀に「食事をしなさい」と言ったんです。ても聞かなくて…それで手をつかんで机から離そうとしたとき

「イヤ~イヤ~離して」と沙紀が、鬼のような形相でお父さんを見た。

 両は、その表情に度肝を抜かれ、言葉も出ず、おろおろするばかりで、さすがのお父さんも、「後で食べるんだぞ」と、夫婦して沙紀の部屋から逃げるように出ていったそうだ。
 どうしようもなく、そして何かが怖くなった、お母さんはついに俺のところに電話をしたということだった。

 俺は、お母さんの前で、すぐに沙紀の家に電話を入れた。
 「はい、○○です」沙紀が出た。明るい声だった。何事もないような声だった。
 「お~俺や、塾のハシモトや、どうや勉強進んでるか?」
 「うん、大丈夫やで~」と、俺の関西弁の真似事までしていた。
 「あんな、ちょっと受験の相談があるんや、作戦みたいなもんやな、あと2週間ほどあるやろ、その間にお前がやっておいた方がええところ、教えたろうと思ってな」
 「でも…勉強しないといけないし…」
 「今、何の勉強してんのや?」
 「え~と…社会」
 「そうか、でもお前にとってもっと大切なことあるからよ、まあ、来いや」
 「うん、じゃあ、これから行くね」

 お母さんは、俺たちの会話を横で聞いていて、少しほっとしたのか、顔を上げた。
 「お母さん、ここにいてください」
 「でも…わたしはいない方が…」
 「いや、下手にこそこそする必要はないです。」
 沙紀が来るまでの間、お母さんと話をしながら、俺は数学の基本問題と俺の手づくりの解答集をコピーしだした。沙紀は数学が弱い、あの子に大切なのは、基本の復習、数学で最低限の得点さえ押さえてくれれば、ほかは大丈夫、必ず合格する。そう思ったからだ。

 沙紀が来た。駐車場にある自分の母の車を見つけたのだろう、入ってきた表情はやつれ、そして雲っていた。ちらっと母の方を見た沙紀が、俺の前にふくれ面で突っ立った。
 「ちょっと座れ」と沙紀を座らせて、俺はコピーを渡した。
 「すーうがく?」途端に嫌な顔をする沙紀
 「おお、そうや、お前、社会も英語もできるやないか、一番弱い数学やれ」
 「だって、今からそんなのやったって…」
 「大丈夫!プロの言うことをよ~く聞け、ええか、今から伸びようなんて思うな、今の実力をいかに維持していくかにかかってるんや、最近数学なんかやってないやろ、違うけ?」
 「まあ、微妙かな」
 「ええか、基本問題でしくじったら、お前の取れるところはなくなってまうんや、そやから基本問題で、今までよく出たやつをまとめといたから、これやれ、全部やらんでええから、1日3問ずつやれ、解答はここにつくったるから、これを見ながらでもええからやれ、回答見てもわからんかったら、電話してこい、ええな」
 「は~い」と嫌々の沙紀

 「ところで、お前、机にへばりついて何してんねん?」と話題を変えた俺に
キッとした目で沙紀は母を見た。
「こらこら、お母さん、お前のこと心配してくれてんねやないか…どないしたんや?」
すると沙紀は
「先生、わたし、落ちるよね…」と突然泣き出してしまった。
「なんで?お前、模試でも合格率80%以上やないか」
「ううん、落ちるもん」
何を言ってもそのときの沙紀には届かなかった。

「ちょっと待っとれ」と、俺は、過去の入試のデータをパソコンから取りだした。そして氏名欄を消して、プリントアウトした。
 沙紀をお母さんの横に座らせて
「見てみ、これ、今までお前の受験する高校を受験した子のデータや」
お前と同じくらいの点数の子は…この子合格してる、この子も、この子なんかお前より50点も低い点で合格や、この子も合格、ほれこの子は実はお前の先輩や、合格や。落ちた子はここ数年おらんわ。大体、俺が落ちるような子に合格しますよって言うわけないやろ…。
俺は、数十人のデータを1枚ずつ見せた。
「ほ~らな、普通に受けたらええんや、お前、合格や合格」
「…じゃあ、落ちたら先生責任取ってくれる?」沙紀は、俺をにらんだ。
「おお、ええぞ、なんぼでも責任取ったる、俺の責任や」もう、そう言うしかなかった。
「ほんと…どう責任とるの、合格させてくれる?」
「それは無理やがな、そうやな頭剃って坊主になったる」
沙紀とお母さんの表情に明かりが少しだけさした。

 「コーヒー飲むか?」俺が沙紀に言いながら席を立とうとすると、お母さんが「あっ、わたし入れます、どこですか?」とさっと立ってくれた。お言葉に甘えることにした。
「先生、お砂糖は幾つですか?」とお母さん

「ふた~つ」と俺
「先生、お腹出るよ…」
「ほっとけ、俺の腹や」
 3人でコーヒーをすすりながら話をしていた。
 俺の昔話をしてやった。俺の小学校、中学校時代の情けない通知票も見せてやった。
「忘れ物が多いので注意すること」などと、小学校の先生に書かれているところを見られて笑われた。
 お母さんが、自分の中学時代、成績が落ちて、に叱られて学校に行くのが嫌になった話をしてくれた。沙紀は、初めて聞くお母さんの昔話に「ほ~んと?おじいちゃん、そんなに怖かったの~?」と目を丸くしていた。

 「さて…」俺は、もう大丈夫、そろそろお開きだよの信号をお母さんに出した。
 お母さんがコーヒーカップを片づけだした。
「沙紀よ、お前が落ちるようなら、この塾で同じところ受ける奴は全員落ちる。そのくらいお前は、成績ええんやから。俺を信じろ、ほんで、これまでやってきたことを信じるんや、それだけでええ。あ、そや、その数学の問題だけはやっとけ、1日3問やど、ええな」
「え~やっぱ、これやらないとだめ?」沙紀の口調がいつもの口調に戻ってきた。
「ああ、それやったら合格や」
 沙紀は、人の話も聞かずさっさと鞄にプリントをしまい込んでいた。
「おい、しかとかよ…」
「わかったって」と生意気な口調が戻ってきた。
「先生になんですか、その言い方」と、流しでカップを洗いながらお母さんが娘を叱った。
ペロッと舌を出す沙紀

 「どうも、ご迷惑をおかけしました」そして二人は、頭を下げて、ドアを閉めて帰っていった。

 そして1か月後、髪を少しおしゃれに染めた沙紀と、とってもうれしそうなお母さんが来てくれた。

「おめでとう!」沙紀の前に、俺は手を出した。
「ありがとうございました」沙紀は俺と握手をしてくれた。
 その夜、お母さんからいただいたウィスキーを一杯飲んだ。

 はらわたに染みるほど、うまかった。

 受験生を持つ御さん、お子さんは、程度の差はあれ、苦しんでいます。
 自分の美化された過去を振り返り、「受験ぐらいなんだ、社会に出ればもっともっと苦しいことは幾らでもある。」そのとおりです。そのとおりなんです。たかが、紙切れのテストなんか本当に楽なのです。
 差別もなく、平等に扱われるなんて、社会に出れば資格試験ぐらいしかない。顔が老けているというだけで、営業から倉庫に回される。言葉になまりがあるからと電話を取らせてもらえない。どうも気に入らないというだけで、昇進の候補から外される。そのとおりなんです。
 でも、子供にそれを言っても全く通じないのです。逆に反発を食い、彼や彼女たちの信頼を失うだけなのです。彼や彼女たちを孤独にさせてしまうだけなのです。

 子供にとっては今が人生最大の苦しみとストレスなのです。
 ただ、黙って見守ってあげてください。そして黙って話を聞いてあげてください。聞くだけですよ。

                            一塾教師より

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From:  * 2007/04/20 16:39 *  * [Edit] *  top↑
合格おめでとうございます!
まめこさん、お子さんの合格、本当におめでとうございます!
「努力は決して裏切らない!」ですよね

さて、お子さんの頭の中には、これからの高校生活、どんな楽しいことが浮かんでいるのでしょうね?
 青春真っただ中、いいよな~
From: かまたり * 2007/02/02 15:31 * URL * [Edit] *  top↑
合格しました~
ご指南ありがとうございました。無事に合格してきました。(今日が前期の発表でした)

イライラもひっくるめて終わってほっとしています。
「ただ聞くだけ」というのは本当に大切でしたょ。
最後には 私があまりのんびりしすぎて 逆に息子の不安をあおってしまったようですが それは本人の弱さの問題もあろうと思います。

それにしても 受験のプレッシャーは想像以上でした!
あと約ひと月 頑張る子供たちもいるのですから 私も応援を続けます。
From: まめまめまめこ * 2007/02/02 12:14 * URL * [Edit] *  top↑
コメントありがとうございます
コメントありがとうございました。かまたりです。

まめこさん、受験生のお母さんですね、ブログを拝見させていただきました。
 親子で戦っている。きっとそうなんですよね。でも、なかなか子供はわかってくれない。自分が親にやって初めてわかることの一つですよね。
 きっと春は来ます…もう来ましたか?
 ご健闘を祈ります!
           「絶対合格!!」
From: かまたり * 2007/01/31 20:28 * URL * [Edit] *  top↑
ほんとうにそうですね
いいお話しを読ませてもらったなぁと感じています。
現在中3の息子は、公立前期の合格発表を待ちつつ、後期に向けて猛勉強をしています。

私立を受けないので少し不安のようです。


男の子は直接不安そうな顔を見せることはありませんが、イライラした様子などから、なんとなく心が見えますので、時々外に連れ出しては、何か食べさせたり、リラックスさせたりしています。(食べ物につられる素直さ?が残っていたのでよかった~)

親として、できることはしてきましたし、息子も子としてやれることを精一杯やってくれました。
結果はどうあれ最終的に自分の歩みに自信を持ってくれるように望んでいます。

とても参考になりました。
From: まめまめまめこ * 2007/01/29 09:18 * URL * [Edit] *  top↑
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