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目 次
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 作者プロフィール

最近、雨ばかり降っている。

「雨」で思い出したことがあった。

kasa.jpgガキの頃、まあ小学校の3年生か4年生の頃だったと思う。
 うちの実家の近所に、きれいな、今で言うとマンションみたいなものが建った。どんな人が住むんだろうと思った。
お袋に聞いた。
「なあ、あっこはだれが住むんやろう?」
すると、「あそには、偉いお医者さん方が住むんやって」とお袋が言った。大きな総合病院のお医者さんの社宅みたいなものだったらしい。
 そこの子供たちと知り合いになった。近所だから、通学区が同じで、とりあえず、俺たちがいる公立の小学校に転校してきたわけだ。
同じ学年に2人の坊ちゃんがいた。
「スエキン」「ボー」だった。ボーは、背が高くて本当にボーとしていて、余りおもしろい奴じゃなかった。 スエキンは、これが、はしっこい奴で、ぐんぐん人気者になっていった。それに、お医者様のボンボンにしては、地元のワルガキともうまく溶け込み、猫の目のように、強い方にサッと身を移すことができる処世術を心得ていた。
 今、思うと転勤の多い家族だったらしく、どこへ行っても、よそ者扱いされてきた奴が自然と身につけた悲しいの処世術だったのかもしれない。

 近所の貧乏小せがれの俺と一緒に学校へ行ったり、一緒に帰ったりすることが多くなった。奴のマンションのすぐ前が、田んぼで、俺たちワルガキはいつもそこの田んぼで遊んでいた。そこから「スエキン、あそぼー」と声をかけると、大体、そこのきれいなママがチラッと塀の間から顔を出して、「ごめんなさいね、今、先生が来られてるの」な~んて言って断られちゃった。
家庭教師の先生が来て、お勉強をしていたわけだ。

nagagutu.jpg ある日、雨が降っていた。
 俺は、数日前に買ってもらった長靴を履きたくて雨がうれしかった。前日の夜から降り続いた雨も小雨になり、スエキンとボーと俺の三人が、学校へ向かう、オンボロ舗装の道には、あちこち水たまりがあった。
 ジャブ…俺が、新しい長靴で水たまりに入ってみた。
 カマちゃん、新しい長靴やんけ、奴らはやっと俺のおニュー長靴に気がついてくれた。

そして、意味のない戦いが始まる。
「俺の長靴の方が強いでぇ~」と、いきなりスエキンが、助走をつけてジャンプ、水たまりに両足着水、ジャブ~ンと、周りの俺たちは、しぶきでびしょぬれ。ボーが、半泣きになりながら、「僕のだって…」と、小さな声とともに、いきなり両足ジャンプ、そのまま、水たまりに垂直に着水、ジャプ~ン、やはり奴は下手くそだった、自分一人が水浸しになってしまった。さらに半泣きになって、途中退場…。
 俺は、ボーが、「もう、そんことやらへん」と半泣きなので、仕方なく次の遊びに移った。田んぼの横の水路に入りだした。雨で深くなった水路に、少しずつ少しずつ深いところまで、ゆっくりゆっくり長靴で入っていく、「お、もうアカン、そろそろ浸水や」、するとスエキンも、ボーも後ろについてきた。スエキンの長靴は、おしゃれで丈が短い、すぐに浸水…。
mizu.jpg「スエキンの弱いの~」とボーが反撃
ボーは背が高い分、足もでかいので俺たちより長めの長靴だったのだ。
ボーは先頭の俺を抜き去り、どんどん深みに行く
「つよいやんけ、一番や」と、俺が驚いて言った。
ボーが振りかえって、俺に何か言おうとした
そのとき…足が滑った。「ハッ」としたボーの顔、「アッ…」と次に何が起こるかわかってしまった俺たち二人
「ジャブ…」と、情けない音とともに、ボーは、水路に尻餅をついてしまった。
ボーの目から、悲しい涙がチラと見えた。奴は、これから学校に行って、どうなのか、推測したに違いない。

俺たちは、遅刻ギリギリに学校についた。
俺とスエキンは、そんなにびしょ濡れではなかったが、ボーと一緒に、体操服に着替えた。ボーはパンツまで濡れていて、ノーパンで体操服だった。
 女先生が教室に入ってきた。
 チラッと俺の方を見て
 「ハシモト、何、体操服着てんねん」と、いつもの厳しいお言葉
 そして、ボーを見て、同じお言葉
 さらに、スエキンを見て
 「スエキン、どうしたんや、三人で」と
 「ボーが、川にはまってん、それでカマちゃんと二人で…」
 すばらしかった。奴はすごいと思った。キラッと光る涙さえ、見せていた。
 「そ、そうか…危なかったな、危ないとこは近づいたらアカンで」と、いつになく優しい女先生。
 ボーは、女先生に保健室に連れて行かれて、貸し出しパンツを履かされた。

 中学校に入ったとき、奴等、2人とも俺の公立中学にはいなかった。
 スエキンは、京都の私立中学、ボーは地元の大学附属中学に入学した。
 噂では、ボーは内科医に、きっと、ゆっくり、しっかり患者さんの言葉を聞いているに違いない。
 そしてスエキンは麻酔医になったらしい。奴のことだ、どんな痛みも、うまく煙に巻いてくれるだろう。

 雨も、昔は好きだったのかもしれない。そんなことを思い出した。


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